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〜vol.10 放置と主体性を育むこととの違い〜


講座などで、本人の主体性を活かした人材育成の
手法を説明していると、ときどき
「それは部下を放ったらかしにする、ということですか」
という質問をいただくことがあります。


結論から言うと、それは違います。


放ったらかしにするのではなく、注意をきちんと
部下に向けていながらも、手を差し伸べないようにするわけですね。


手を差し伸べないのだから、楽な人材育成手法なんだなと
思われた方は、それも間違いです。


実際にやってみると分かると思いますが、こちらから見れば、
さして難しくないことを、ああでもない、こうでもないと
困っている部下を見て、手を差し伸べない、というのは
なかなか苦しいものです。


逆に、「こうやるんだよ」と口を挟んでしまった方が、
気持ちの面ではよっぽど楽なんですね。


しかし、「こうやるんだよ」などと随時口を挟んでしまうと、
その部下は、将来どうなってしまうでしょうか。


恐らく、自分で考えることせず、わからないことにぶつかるたびに、
上司に答えをもらおうとする社員になってしまうことでしょう。


親が過保護に子育てをしてしまうと、その子供は、
大人になっても、親離れできなくなりがちなのと同じですね。


「部下に指導しないで、黙ってみている」というと、
人材育成を怠っているように感じるかもしれません。


しかし、部下に注意をむけつつ、口出しをしないというのは、
大変、エネルギーがいりますし、部下の将来を考えれば
とても大切なアプローチになります。


放置するのではなく、きちんと注意を向けつつも、
余計な口出しをしない。


こういったことができるようになると、
部下の自主性はうまく育まれていくと思います。



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